高齢者住宅新聞掲載
介護職員に経営視点運営状況をオープンに
神奈川県内でデイサービス2カ所を運営するプレゼンス(横浜市)。スタッフの教育に力を入れており、介護技術に加えて介護保険の知識や経営についても学べる環境をつくっている。今後は外国人人材を受け入れ、海外で自ら事業を起こせる能力を備えた介護士を育成したい考えだ。
法人のデイサービスは地域密着型で、定員はどちらも10名。入居系施設やデイサービスの職員と働いていた三戸究允社長が、2014年に独立し立ち上げた。現場で行われていたケアに対する考え方の相違や、「介護職になるとき父から『ただの介護士でおわるな』と言われたことが心に引っかかっていた」(三戸社長)ことが起業のきっかけになったという。
デイサービスの基本方針は利用者の自己決定を尊重すること。利用者一人ひとりに役割を持ってもらうようにしているという。「食事の準備や片付け、花の水やりなど、その人の自発的な行動に合わせて手伝いをしてもらっています」(三戸社長)
社長が独立支援介護起業家育成
三戸社長は法人の目標の一つに、「一般の人々に『介護』について理解を深めてもらうこと」としている。そのためには介護事業所に勤務するスタッフがまず一般市民として、「介護保険とは何か」といった基礎知識を熟知しており、必要に応じて家族や知人が必要な時にその知識を使えることが必要だという。そこで、職員への社内の勉強のテーマで日本の人口構造とその課題、介護保険と成り立ちや利用までの流れといった、直接的に業務に関係ないが業界必須の知識を扱う。また、事業所の経営状況について社員にオープンにすることを心がけている。毎月の経営会議にて、施設の稼働状況と収入・支出の状況、現状の課題点とそれの解決に向けたアクションについて、社員全員に説明する。現場職員としてだけでなく、介護事業の経営者としての目線を養うことで日々の業務に対する意識が変化する。さらに、将来的に独立を希望するスタッフには、三戸社長が独立支援のサポートも実施。経営者としてのビジネスの基本を伝授する。現在、理学療法士1名がサポートを受けて経営を学んでいる。今後は、デイサービスに加えて新規事業として小規模多機能型居宅介護とグループホーム一体型拠点の開設を目指す。介護予防から最後の時まで一気通貫の支援を可能にする。それに合わせて、インドネシアから外国人人材を受け入れる方針。日本の介護技術に加えて、先の介護保険制度や経営の知識も伝えることで、母国で介護事業の独立開業もできる人材を輩出ことが目標だ。
※高齢者住宅新聞に掲載の許可をいただいております。